頭皮エステを買いました。
なぜか?
それは、寂しさからです。
一般的にエステに通う人もそうだと思います。きっと人は寂しさを紛らわすため、生きているの。
というわけで、ニューモデルが出たところでしたが頭皮よりも懐にやさしい型落ち品にしました。“エステ”なのに生活感がすごいですね。
だから「頭皮マッサージャー」と呼ばせてくださいもう少し。
フォーフィンガースパイラル…、この言葉に小学生の頃に通っていた床屋さんのことを思い出しました。
そこは夫婦で営んでいて、髪を切るのはご主人、奥さんは補助といった感じ。今思えば、40歳くらいだったのかな。あの頃は随分と歳がいってるように見えたけど。
ご主人は、いつも分け目きっちりポマードきっちり、奥さんは濃い目の化粧にきつ目のソバージュ。それぞれの清潔感があるお二人でした。
ご主人の櫛使いの手際とか鋏の音とか、髭剃りの泡塗ったあとの数秒間の温もりとか、心地よかったなぁ。
でも、シャンプーはちょっと恐怖でした。前かがみになるタイプのシャンプー台だったので姿勢的に苦しい、というのはまあ置いといて。
次のお客さんがいないときは、ご主人がシャンプーをしてくれます。ご主人のシャンプーは、両指の腹を使っての“エイト”フィンガースパイラル。ずっと私の頭皮に円を描いていて欲しい感じ。
ですが、次のお客さんがいるときは、カットが終わるとご主人はそちらに行ってしまい、奥さんがシャンプー担当に。
これが恐くて。いつも「もう客来んな!」と思っていました。
奥さんはいい人なのですが、シャンプーのときに指を立てるので爪の部分が頭皮に当たるんです。指の動きはスパイラルではなく直線的。エイトフィンガーピストンって感じでしょうか。早い話が、痛いんです。
そして、そのピストン運動が終わっても苦難は続きます。シャンプー(リンス)を流すために頭からお湯をかけるとき、丁寧にしているつもりなのでしょうが、少しずつかけるので余計に泡が目の方に流れてくるのです。泡が目に入ると痛いんです。
これがご主人だと、手でお湯の流れる方向をコントロールしつつ、一気に流すので顔は濡れても泡は目に入りにくい。タオルを出すタイミングも絶妙です。
お店にはもう長い間行っていませんが、ご夫婦でお孫さんと遊んでいる姿を見かけたのでお元気だと思います。
このご夫婦からは、子どもながらに女性が男性よりも丁寧なわけではないことを学びました。ありがとうごさいました。
そして、「おばちゃん、痛い!」と言えなかった内気な小学生は今でも内気です。
寂しさは懐かしさを含みますね。