よさこないし、恋してもクッキーは作らない選択。

 下火になってきたとは言え、地方のイベントなどではまだまだ元気な「よさこいYOSAKOI)」。踊っている皆さんは楽しそうで何よりなんですけれども、私はお神輿とか盆踊りとは違うあの独特なノリが苦手です。なんとも”逃げられない”あの感じ。

 「一体感が最高」とか「これでまちおこし」とか「ソイヤーソイヤー言いたい」とか、いろいろ理由はあるのでしょう。踊っているときの宝塚歌劇団にも負けないあの晴れやかな表情は、正直言ってうらやましいけれど、ハニカムな私にはとても真似できそうもありません。

 最近は、よさこいのような”オラオラ”臭の強いものではなく、AKB48の『恋するフォーチュンクッキー(恋チュン)』をみんなで踊ったり、フラッシュモブ風にサプライズを仕掛けるなど、アイドルやゆるキャラなどでラッピングされたフレーバーものが増えてきましたが、これらも勘弁して欲しいです。

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 どうしてみなさんこんなにも「みんなで一緒に同じことをする」のが好きなのでしょうか。私には流行に内輪ノリで喜んでいるようにしか見えなくて、全くやりたいとは思わないのですが。

 「ロックでない奴ぁロクでなし!!」と叫んでいたはずのロックバンド怒髪天のボーカル増子氏までもが「恋チュン」していて、彼の侠気を信じていた私のこの喪失感は何48が埋めてくれるのでしょうか。


恋するフォーチュンクッキー Rock Musician Ver. / AKB48[公式] - YouTube

 

 増子氏がおっしゃるには、

増子直純コメント】 
加藤さんから「これ覚えたら、紅白あるよ!」と唆され参加しました(笑) 
飲みの席でのノリを、ノリで終わらせない姿勢こそがロックなのだ!

 とのことですが、ロックとは反骨の精神ではないのですか?

 それなのに”(笑)”ってなんですか?”ノリ”ってなんですか?

 ロックも憲法も自分の都合の良いように解釈してはいけないのです。見えない線が引かれていて守るべきものがあるのです。それが分からない輩はもう一度ジョン・ロックから勉強し直してください。

 …と言ってやりたいところですが、実は別にかまわないのです。

 だってみんな大人なのですから、いろいろと事情があるのでしょう。ROCKを口にする奴ほどPOP好きなことも知っています。

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 私が今回取り上げたいのは、子どもに「よさこい」や「恋チュン」を踊らせて喜んでいる人たちです。(※踊っている子どもたちは、文句なしにかわいいです。天使です。)

 大人は自分が教えたとおりにする子どもに安心するし、子どもは褒められたら嬉しいのでまた言われたとおりにできるように頑張る。

 そこまではいいのですが、大人が子どもを「コントロール」しようとしているようにしか見えない時があるのです。私の苦手な”逃げられない”感じに似ています。

 

 みんなでひとつの作品をつくり上げるのは大切です。そこから得るものも大きい。

 でも、「お絵かき」と一緒で、子どもにはなるべく自由に踊らせてあげて欲しい。決められた曲やリズムに身体を合わせることよりも、自分が好きな曲やリズムを見つけたり、自分で新しい動きを作り出すことでその子の”らしさ”が育まれると思うからです。

 中学校で教えるようなった「ダンス」も、その視点が抜けているように感じます。文部科学省の公式ホームページにあるように、要するに他人と”うまくやっていける”人間を育てることに主眼が置かれています。

武道・ダンス必修化 

文部科学省では、平成20年3月28日に中学校学習指導要領の改訂を告示し、新学習指導要領では中学校保健体育において、武道・ダンスを含めたすべての領域を必修とすることとしました。
武道は、武技、武術などから発生した我が国固有の文化であり、相手の動きに応じて、基本動作や基本となる技を身に付け、相手を攻撃したり相手の技を防御したりすることによって、勝敗を競い合う楽しさや喜びを味わうことができる運動です。また、武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解し、相手を尊重して練習や試合ができるようにすることを重視する運動です。
ダンスは、「創作ダンス」、「フォークダンス」、「現代的なリズムのダンス」で構成され、イメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることを重視する運動で、仲間とともに感じを込めて踊ったり、イメージをとらえて自己を表現したりすることに楽しさや喜びを味わうことのできる運動です。

 実際の現場を見たわけではないのですが、「現代的なリズムのダンス」としてのヒップホップダンスも、チームで振りを合わせて踊るように教えているようです。

 ヒップホップは本来なら、社会に対して自分(個)をむき出しにして表現する音楽なので、どうせならば授業で校長先生とフリースタイルラップ&ダンスバトルでもしたらいかがでしょうか。


戦極MC BATTLE 第7章 vs THE 罵倒特別編(13.7 .21)@公式ダイ ...

 

 文部科学省は早く間違いに気づいて、ダンスの授業内容を改めていただきたいです。参考にすべきは「Choo Choo TRAIN」より「Soul Train」です。ファッキン’ マジそう思います。

 個々にスタイルを模索し、お互いを認め合い、全体がゆるく繋がっている。そんな雰囲気の中、体育館や教室で踊れたら…。これはもう一種の理想郷です。


ソウル・トレイン ギャング Earth, Wind & Fire [ Mighty, Mighty ] - YouTube

 

 それと、「SPEED」全盛の頃に多感な時期を過ごし、今は親として一生懸命にわが子をヒップホップダンス教室に通わせている方々に言いたいことがあります。

 ぜひもう一度彼女たちの衝撃のデビュー曲『Body & Soul』を歌詞も含めてご覧ください。


SPEED - Body & Soul - YouTube

 伊秩弘将さんがこの曲をどのような思いで作ったのかはわかりませんが、つまりこれは、性も含めた自我解放賛歌なのですね。大人は好きに踊るのを見守るしかできないわけです。

 もう誰にも止められないBody&Soul!のとおり、やがてメンバー自身それぞれ別々の道を歩んで行ったように。