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国立ぬ

 国立競技場には一度も行ったことがないのですが、中学・高校時代は陸上部員としていつかあの場所で走ることを夢見て練習していた日々が懐かしいです。

 結局その夢は叶いませんでしたが、東京へおのぼりさんしたとき、国立(くにたち)で「うぉぉ!コ・ク・リ・ツ!!ここにコクリツがあるのかぁ!!!」と叫んでしまったこと、今も忘れません。

 地方在住の平凡な私には、国立競技場に関する思い入れやエピソードは、頑張ってもそのくらいしか浮かびません。

 あとは、テレビで年に数回スポーツ観戦する程度。東京にどんなにすごい建物ができたところで、外国の出来事のようにしか感じないのです。

 ニュースで最初に新国立競技場のこのデザインを見た感想も「すげー。エヴァンゲリオンみたい。こんなん本当にできるの?」くらいの軽いものでした。

f:id:meganegadoushita:20140605141710j:plain

 

 そんな私が、急に新国立競技場の建替え問題に関心を持ち始めたのは、たまたま建築エコノミスト 森山のブログを読んでからです。豊富な資料と熱意に心が揺さぶられました。

 まあ、揺さぶられただけで未だに内容を理解できていないのですが、大まかには、

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o(`ω´*)oプンスカ① 

 景観および歴史的背景を無視した(ザハ・ハディド氏デザインの)新国立競技場はけしからん!

 o(`ω´*)oプンスカ② 

 費用を抑えるためにも未来のためにも今の競技場を活かして使うべき!

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 のようなことをおっしゃっておりまして、最初は私も「そうだそうだo(`ω´*)oプンスカプンスカ!!(デザインはカッコイイけどな!)」と憤っておりました。

 

 今もその気持ちはあるのですが、近頃ちょっと冷静に考えるようになりました。この見直し案の外観を見てボクの初号機が萎えてしまったせいもあります。

f:id:meganegadoushita:20140605151103j:plain  なんだか東京ドームの両端を押さえて、てっぺんつまみ取って、あとはきれいに整えて…、ハイ出来あがり♫みたいな。おしゃべりクッキングみたいな。

 

 当初案と見直し案との比較については、こちらの記事がわかりやすかったので、引用しました。今年の5月28日に開催された「国立競技場将来構想有識者会議(第5回)」で示された資料を見ても、おおよそこの記事のとおりになっています。

「新国立」は再開発の序章 神宮外苑、スポーツ集積地に五輪で変わる東京(2)

2014/2/25 7:00
日本経済新聞 電子版

新国立競技場の延べ面積2割縮小

 
図2 新国立競技場は斬新なデザインが特徴。2013年3月時点の完成イメージ。2012年11月にデザイン・コンクールで最優秀賞を獲得した当時の案から修正されている(資料:日本スポーツ振興センター)

図2 新国立競技場は斬新なデザインが特徴。2013年3月時点の完成イメージ。2012年11月にデザイン・コンクールで最優秀賞を獲得した当時の案から修正されている(資料:日本スポーツ振興センター

 開発の第1弾が、国立競技場の建て替えだ。新国立競技場は英国在住の建築家、ザハ・ハディド氏がデザイン監修を手掛け、8万人収容の開閉式競技場に生まれ変わる(図2)。

 

 建て替えをめぐっては、「規模が大きすぎる」という批判が相次いだり、整備費用が膨らむことが判明し計画規模が変更になったりと、混乱が続いている。経緯を振り返ってみよう。

 

 国際デザイン・コンクールでハディド氏が最優秀賞に選ばれたのは2012年11月。当初予定していた総工事費は約1300億円だった。その後の試算で、2013年10月に総工費が約3000億円に膨らむことが判明。下村博文五輪担当相が「縮小する方向で検討する必要があると考えている」と表明した。

 

 建築界からは、「巨大さ」に対する批判が相次いだ。建築家の槇文彦氏らが11月に規模縮小を求めて国に要望書を提出した。

 

 建て替えの事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)はその後、基本設計条件案を公表した。ハディド氏のデザインは生かしつつ、規模やコストを縮小。延べ面積は約29万平方メートルから22万4950平方メートルへ、総工費は3000億円から1785億円に圧縮した(図3)。今後はこの案を基に設計が進んでいく予定だ。

 
図3 2013年3月時点と11月の基本設計条件案発表時点の新国立競技場の配置図比較。南側に尻尾のように延びていた歩行者通路がなくなり、全体としてコンパクトになった。表は2012年11月のデザイン・コンクール時点と基本設計条件案時点の規模やコストの比較(資料:日本スポーツ振興センター)

図3 2013年3月時点と11月の基本設計条件案発表時点の新国立競技場の配置図比較。南側に尻尾のように延びていた歩行者通路がなくなり、全体としてコンパクトになった。表は2012年11月のデザイン・コンクール時点と基本設計条件案時点の規模やコストの比較(資料:日本スポーツ振興センター

 

 JSCは、2014年7月から既存競技場の解体に取り掛かる。新国立競技場の建設工事は2015年10月~2019年3月。2019年秋に開催される、ラグビーワールドカップで使用することが決まっている。

 

 有識者会議の資料を読むとわかるのですが、「世界に誇れる最新鋭の機能を持った屋根付きスタジアム」にすることは譲れないようですね。デザインと同じくこれで丸く収めようということなのでしょうが、あの丸くなった凡庸な外観に、

(4)概算工事費

本計画による概算工事費は、本体整備 約1,388億円、周辺整備 約237億円、計 1,625億円と見込んでいる。
(2013年7月時点の単価による概算。消費税5%を含み、建物敷地外の工事費は除く。)

をかける価値があるとは到底思えません。しかも、毎日新聞の社説によると維持費が年間46億円だそうで…。

 ちなみに、新国立競技場(8万人収容)とほぼ同じ規模の日産スタジアム横浜国際総合競技場 1997年竣工 7万人収容  )の場合、総工費約603億円で年間維持費は約7億円です。

 維持費については金額が大きくても黒字なら問題ないとの考えもありますが、河野太郎衆議院議員のブログによると、

サッカーワールドカップ会場となった10の会場の陸上競技の国際大会・日本選手権等、サッカーのJリーグ・日本代表戦等、野球のプロ野球、コンサート等による2011年の使用日数を出してみると

札幌ドーム 94日
宮城スタジアム 0日(被災)
鹿島スタジアム 20日
埼玉スタジアム 29日
日産スタジアム 29日
ビッグスワン 24日
静岡スタジアム 5日
長居陸上競技場 57日
ノエビアスタジアム 29日
大分銀行ドーム 22日

陸上競技の国際大会、日本選手権等の開催日数と入場数は

日産スタジアム 4日 42,459人
静岡スタジアム 1日 14,815人
長居陸上競技場 5日 18,360人

また、2012年のスタジアムの収支は

宮城スタジアムでは周辺施設と合わせ5億6千万円の指定管理料、スタジアム単体の施設利用料は1850万円。

鹿島スタジアムは指定管理料5560万円、利用料金1億6856万円、自主事業収入5708万円、緊急修繕委託料1089万円だが、666万円の赤字になっている。

日産スタジアムは指定管理料4億1535万円、利用料金3億550万円、合計7億2085万円の収入に対して、支出が7億1450万円。

ビッグスワンは、指定管理委託料2億29万円、利用料を加えて合計3億1596万円の収入に対して、支出は3億1038万円。

その他のスタジアムは周辺施設と一括しての指定管理等になっており、スタジアムの収支が出せない。

いずれにせよ、スタジアムを抱える自治体は億単位の支出を毎年強いられている。

  また、少し古い資料ですが、横浜市環境創造局のホームページによると、

 

質問21
日産スタジアムの利用料金収入299,491千円の内訳金額(サッカー、陸上競技、コンサート等)を教えてください。
回答21
サッカー158,609千円、陸上競技8,406千円、コンサート等132,476千円です。(11/11)
質問22
日産スタジアムの平成16年度のJリーグ利用日数及び横浜FCの利用日数、その他のチームの利用日数を教えてください。
回答22
Jリーグ利用日数:23日
横浜FC利用日数:1日
その他のチーム利用日数:11日です。(11/11)
質問23
日産フィールド小机における平成16年度の利用日数において、日産Fマリノスの利用日数、横浜FCの利用日数、その他のプロチームの利用日数をお教えください。
回答23
横浜F・マリノスの利用日数:25日
横浜FCの利用日数:31日
その他のプロチームの利用日数:3日です。(11/11)

となっており、どのスタジアムも収入の多くを自治体から支払われる指定管理料(つまり税金)が占めていることがわかります。

 あまり派手に儲けると指定管理料を減らされるので利用料収入の見込めるイベントを開催していないだけであり、収入増の余地はあるという意見もあるようですが、そもそも「競技場」とはなんぞや?から議論が必要になるかも知れません。”国立”となればなおさらです。

 日本の人口が減少していく中で、国際大会や商業イベントの数が増えるとも思えません。「Perfume ドームツアー」を国立競技場ツアーに変更したとしても、「渡辺美里 西武スタジアムライブ」を国立競技場ライブとして復活させたとしても、国立競技場以外の施設の稼働率が落ちる(単価も下落)可能性が高いです。利用料収入が減れば、税金で穴埋めが必要になるかも知れません。

 心配は尽きないのですが、このあたりのことは、私の意見よりも『神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会 』から「独立行政法人日本スポーツ振興センター 」への公開質問状の回答を見たほうがよいです。とてもきれいなバラ色です。

  結局、「2020年東京オリンピックさえなければ、国立競技場も今のままで良かったんじゃないの?ていうか、なんで今更問題になってるの?」という素朴な疑問に行き着いてしまうのが悲しいところです。

 急に注目が集まった新国立競技場をよそに、湾岸エリアではオリンピックの準備が着々と進んでいるようですし、国家プロジェクトのはずなのにちぐはぐ。 

 東京未来地図 目玉開発続々、「五輪特需」で湾岸ブーム :日本経済新聞

 

 日本は、札幌・長野・東京の過去3度のオリンピックにサッカーワールドカップ…。夢を追う度に新たな建物を次々に造ってきました。

 他にも夢はたくさん。新幹線や高速道路はどこまでも延ばしたいようだし、近頃はリニア新線までも。どんなけよそ行きの服欲しがるんでしょうか。パンツも履かずに。

 私の住む地方では、ここ数年で「○○交流施設」や「道の駅」などの施設がいくつも新しく建っています。おそらく今日も日本のどこかで同じようなものを建てています。

 それら全てが悪いとは思わないですが、新しい交流施設の周りには公民館が、道の駅の周りにはおみやげ館みたいなものがあったり…。履いていたパンツを脱ぎっぱなしにして、なぜにまた新しいパンツを買うのでしょうか。洗えばきれいになるのに。

 

 さて、パンツの話は一旦脇に置きまして、私なりに新国立競技場建替え案を提示してみます。2020年東京オリンピックに向けて8万人収容のスタジアムは必要との前提で。

新国立競技場は?】

 ・湾岸のオリンピック競技会場予定地に新設する。

※湾岸エリアに用地の確保が難しい場合は、現国立競技場を解体し、跡地を他競技会場の代替地とする。

 ・設計コンペは参加条件と設計要件を原則公開の委員会で再検討したうえでやり直す。(審査には当初のザハ・ハディド案も含める)

【現国立競技場は?】

 ・A案 

 トラックと芝生、聖火台のみを残して解体。立ち入り自由の記念公園として一般開放する。

 ・B案  

 全て解体し、靖国神社に代わる慰霊施設の整備または子育て施設の整備。

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 ◇A案の趣旨

 国立競技場のある神宮外苑は、国民の体力向上や文化芸術の普及が創建の趣旨とのことですが、現状は施設の詰め込み状態になっています。国民の生活が豊かになった流れでこうなったのでしょうが、これからはアスリート育成や興行重視の大型施設ではなく、一般市民がもっと気軽に身体を動かせる空間を増やすべきです。

 精神疾患生活習慣病の予防に適度な運動が効果があることは周知の事実です。日本経済を支えている東京の人達には、ぜひこの由緒ある場所で身体を動かし、少しでもリフレッシュしてもらいたい。

 

 ◇B案の趣旨

 度々話題になるのに実現しない施設として、「(靖国神社千鳥ヶ淵墓苑に代わる)戦没者慰霊施設」「待機児童の受け皿」の2つが挙げられます。

 靖国神社の存在を否定するわけではありませんが、戦争で亡くなられた方々を祀る象徴としては、国内外にデリケートな問題を抱え過ぎています。

 また、遺族の高齢化が進み全国各地にある慰霊碑などの私的管理が難しくなってきており、いずれ問題化するでしょう。

 神宮外苑であれば、戦争で亡くなられた方々を弔い、平和を祈念する象徴となる場所としてもふさわしいと思います。そろそろ誰もが静かにお参りできる時代にしましょうよ。

 

 A案とも関係するのですが、都心で働く人たちは国を挙げてサポートするべきです。神宮外苑のような環境の良い所に、子どもを安心して預ける場所ができれば、働く女性を増やすことにつながります。

 特に、山手線内側で働くようなキャリアな方々には魅力的ではないでしょうか。企業の託児所としても機能させれば、建設費や運営費の負担も軽くできそうです。

 国立競技場跡地になるわけですから、子育て中のトップアスリートに利用してもらうのも良いでしょう。

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 以上のように、一生懸命考えてブログに書いてみたところで、新国立競技場は見直し案のまま建替えられるでしょうし、私の提案が国に届くことはないでしょう。

 それでもまあ、今回は良い勉強になりました。いつの日かマスターズで新国立競技場のトラックを走ることを夢見て寝るとします。おやすみなさい。