今からもう12年ほど前になりますが、名古屋に1年間住んだことがあります。
それまでは「名古屋」から連想するものは、エビフリャー(エビフライ)、八丁味噌、きしめん、ういろう、小倉トーストなど、胸躍るラインナップではありませんでした。それどころか、正直なところちょっとバカにしていました。
しかし、住んでみたらバストが縦揺れするものがあったのです。
まず、今はもう全国区になりつつありますが「コメ兵」「コメダ珈琲」のブランド米です。「コメ兵」ほど洗練された質屋さん(兼小売り)も「コメダ」ほど根っ子のしっかりした喫茶店チェーンもそれまで全く知りませんでした。ウォルマートもスターバックスも勝てないと思います。
場所では、大須~上前津界隈です。よくぶらぶらまち歩きに行っていました。大須商店街は昭和の風情を残しつつ若者や異文化が混在していて”生きている”商店街です。上前津辺りは、品揃えが豊富でしかも良質の中古CDショップ(soundbayがお気に入りでした)があるので、よく得体の知れないアーティストのCDをジャケ買いしたり、ポップ買いしたり、オトナ買いしたりしました。おかげで1年でかなりの音楽ジャンルを開拓できました。
名古屋は、一時期話題になった「ハデ婚」や「名古屋巻」などのような、今で言う”盛る”イメージがある一方で、リサイクルが文化として根付いており締めるところはちゃんと締める一面も持ち合わせています。
タモリさんが言うようなおかしな街ではありませんでしたので、タモリさんは『笑っていいとも!』最終回で名古屋市民に謝まるべきだったと思います。(埼玉県民にも)
話を元に戻しますが、私の胸を最も激しく揺らしたのが「手羽先」です。いや、揺らしたというか鷲掴みでしょうか、手羽だけにな!
…えーっと、今のはそれくらいかつての私には、手羽先に対するイメージはテキトーしかありませんでしたという意味です。
名古屋手羽先との初めての出会いは、『風来坊』でした。名古屋では、この『風来坊』と『世界の山ちゃん』が手羽先チェーンの二大勢力です。地元の方の評価では、味付けの好みが辛めなら前者、甘めなら後者を選ぶそうです。
ちなみに私は、味どうこうよりも硬派な感じのする『風来坊』のほうが好きです。世界の山ちゃんはマスコットキャラクターの社長から「ジャパネットたかた」を連想してしまうので食欲が…。
名古屋の手羽先を食べた方には共感してもらえると思うのですが、おつまみっぽい味付けと食べやすい大きさなので、お皿にもジョッキにもどんどん手が伸びます。本当に鳥さんごめんなさい。
食べ方には一応の作法があって、手羽先初心者かどうか容易に見分けがつきます。
私は最初、手をベチャベチャにしながら骨に肉が残る食べ方をしていたので、同席していた現地の方から「あー。全然わかってないねー。こうやるんだ。さ、やってみるでよ?」的な指導を受けました。すると、上手に食べられるようになって手羽先のことがもっと好きになりました。
近頃流行りの「街コン」も「手羽コン」にしたらいいのに。人への教え方(教わり方)って人間性がすごく出ますので、見極めにいいかも知れません。
以上のように、名古屋を離れて実家に戻ってきてからも手羽先への熱い思いは持ち続けていたのですが、尾張名古屋の「手羽先」は一向に全国区になる気配がありませんでした。
揚げ物仲間の大分県中津市の「唐揚げ」は、ここ数年で知名度を一気に上げているので歯がゆく思っていたところ、昨日の夜にインターネットでこの『手羽先サミット2014』の開催を知ったのです。
実は、会場になっている金山総合駅は、私が名古屋にいた時にはほぼ毎日利用していた駅です。懐かしさと手羽先への愛で、胸が揺れて肩紐が切れそうだったので「これは記事にせねば!」と思い、急遽プライベートを犠牲にしてこの記事を書いています。
しかしこのイベント、告知を見た瞬間から「え?まだ第1回?」「ん?人類初??」「なにこのゆるキャラ、エビフリャー?っていうか手羽先って書いちゃってるし!」とツッコまずにいられませんでした。しかも、「風来坊」が出店していないと分かり、早くも第2回の開催が心配なのですが、手羽先に罪はありません。
会期は残すところ明日(8日)のみとなってしまいましたが、 できるだけ多くの方が名古屋手羽先デビューを果たすことを祈っております。そして世界へ手羽たいて欲しいです。