レモン パプリカ スムージー

 少し前のことです。自宅のテレビをつけたら、このミュージックビデオが流れていて、「どんなけ花咲かすねん。」と思いました。NHKさん、もう十分にいつか生まれるキミに花を咲かせたでしょうが、と。


<NHK>2020応援ソング「パプリカ」ダンス ミュージックビデオ

 曲自体は、初めて聴いた感じはしなくて、何かのリメイクかと思いました。特に、サビの“パプリーカ”が耳に残り、気になっていました。

 それからは、タイミングが合わなかったのか、曲を耳にすることはなかったのですが、つい先日、この曲が米津玄師さんによるものであること、そして、巷では子どもたちがこの曲で爆踊りしていると話題になっていることを知りました。

 私は、お恥ずかしいことに、米津玄師さんの代表曲『Lemon』を未だにしっかり聴いたことがありませんし、世間で言われるような彼の凄さもよくわかっていません。

 この対談記事も先ほど読んだばかりなのですが、私には驚きの内容でした。全て本当のことだとしたら、この曲を初めて聴いた気がしなかったこと、サビの「パプリカ」がやけに耳に残ったことが、彼の意図するところだったからです。

news.mynavi.jp

 私よりも随分と若い彼が、そのまた彼よりもずっと若い世代に向けて作った曲が、私の心をざわつかせた理由に、かつての“小室サウンド”のような、「ヒットの法則」を挙げる人は多いでしょう。

 しかし、彼はそのような音楽的なテクニックではなく、それ以上に「パプリカ」という言葉そのものが放つ魅力(魔力?)に賭けていたのではないでしょうか。固有名詞としてのパプリカではなく、色とりどりで角がなく、弾けるような豊かさを表すオノマトペ的なものとしてパプリカ。

 おそらく、「なぜタイトルがパプリカなの?」そんな疑問を抱かず楽しめるかどうかが、この曲の肝だったのではないでしょうか。ある意味で、素直にこの曲を楽しめない人たちによって話題性が高められ、ヒットにつながったと思います。

 

  巷では、パプリカをかけると子ども達が爆踊りをし始めるとされていますが、私は、必ずしも子どもの反応と楽曲の良し悪しとは関係がないと思っています。子どもは、いつだって全力またはそれ以上ですから。

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RTSF 2019 – Dietmar & Nellia – Never Stop Jiving

タピオカについてのくだらないこと

 タピオカがすごい人気らしいですね。私は、タピオカンな生活には、あまり縁のないところに住んでいるので分からないのですけれど、『美味しんぼ』に出てくる富井副部長の声で、「たぁぴおかぁ~!」て叫んだら楽しそうだなと思いました。

 (1分50秒あたりから)


自己批判ショー「富井副部長五重奏」

 

丁寧な生活

 この動画のシリーズ、どれもつい見入ってしまいます。多いものでは4000万回以上再生されているのですが、私は今のところコレ↓が一番好きです。今回初めて知った方は、沼化注意かも知れません。


Peanut and melon seeds, dried meat, dried fruit, snowflake cake - snacks for Spring Festival|Liziqi

 最初は、農村の四季折々の風景と主人公?の女性のDIYっぷりを紹介する番組かな、雰囲気が一昔前の『いいちこ』のCMぽいな、などと思いながら見ていたのですが、映り込んでいる「かまど」の形が犬の頭の形(蓋が骨を咥えた犬の口になってる!)になっていると気付いてから一発で惚れました。

 実は冒頭、トコトコ歩く子犬や山羊が登場した時点で、既に二発も三発も惚れていたのですけれど、とにかく惚れました。ちなみに、このかまども彼女が設計から自分で作り上げる回があります。あと、服や洗面所を自作する回なども。

 ビールを手作りする回では、撮影しているカメラマンも一緒に乾杯に加わる場面があったり、山奥で昔ながらの暮らしなのかと思ったら、スマホやノートPC、バイクが出てきたりしますので、これは高精細カメラで撮影されたドキュメンタリー“風”動画チャンネルという分類になるのでしょう。画面からは、いい匂いしかしません。

 それにしても、慣れた手付きで繰り出される食べ物の美しさったらもう。

 冷めた眼で見れば、予め決められた手順をこなしているだけなのですが、動きのひとつひとつが、とてつもなくクリエイティブな作業に見えるから不思議。

 包丁さばきでもスマホさばきでもなんでもいいのですけれど、生活の中に溶け込んだ手際の良さに、「匠」とか「誇り」とか「感謝」とか「こだわり」とかそういう気持ち悪い(※ごめんなさい)ものを含まない、機能美というか行動美というか、意図せずに洗練された魅力を感じます。

 あの動画の女性が、生活苦から村を出て、街の細い路地を入ったビルの2階にある小さな会社に就職したとしても、階段を上り下りする姿や、売り上げを数えたり、帳票をめくったり、ECサイトに自社製品をアップする姿に、私は同じように見入ってしまうでしょう。


Everyday life in bygone days in Tokyo, 1966 昭和東京

 

土俵の外に円を描くヤツは誰だ

 前回、トランプ大統領の大相撲観戦について軽めに書きました。しかし、テレビ中継を見ているうちに事態はけっこう深刻なのではないかと思うようになり、今回はしっかりめに書きます。

 トランプ大統領については、清々しいほどにトランプ大統領でした。

        ーおわりー

 

 観ていて恐かったのは、周りの反応です。

 トランプ大統領夫妻と安倍首相夫妻入場の際、場内の人々が「わしも!」「わしも!」と次々に立ち上がり、腕をいっぱいに伸ばして両夫妻にスマホやカメラを向ける光景は、保釈されて出てくるケンタウロスを狙うフラッシュの瀧のようでした。

 わしも、、じゃなくて、私も釣られてTV画面にレンズを向けかけましたが、思いとどまりました。あの場にいたら同調しない自信はありません。

 早くから中継を観ていたのでわかるのですが、当日は入場者のセキュリティチェックに時間がかかったそうで、「幕内」になっても場内には空席が目立っていました。国技館の外は記録的な暑さ、長時間待たされたうえに、お目当ての取組に間に合わなかった人もいたでしょう。早めに会場入りできたとしても、両夫妻が来ることで進行が変わったり、厳重な警備によって雰囲気を壊されたと感じた人もいたはずです。事前の世論が、枡席での観戦には否定的だったのも当然ですね。

 ところが、蓋を開けてみれば、まるでハロウィンの渋谷スクランブル交差点のような騒ぎ。スプーン一杯で驚きの白さです。

 少し落ち着きを取り戻し、ようやく取組が再開される際には、両夫妻を立ってガードしていたSPさん達に向かって、「すーわーれ!」のコールが観客の一部から起きました。やっぱり言いやすい人には言う人たちってどこにでもいますね。

 

 なんだかんだで千秋楽の取組は無事に終わり、続く表彰式で気付いたことは、

 ① 大統領杯デカい(天皇賜杯よりも内閣総理大臣杯よりも)

 ② 表彰状英語&片手渡し

 ③ 土俵から降りない首相

 ④ スリッパ黒色

 ⑤ 土俵への特製階段初登場

です。 

 ①②は、古代アメリカ式だから仕方ないとして、③は、自分の表彰が終われば速やかに一旦降りるのが常識でしょう。④は外見は皮靴みたいで、履き心地はフカフカそうでした。⑤は、寸法ピッタリ、持ち運びやすい配慮もあって熟練の技を感じさせました。

 それにしても、これまで大相撲協会が守ってきた伝統や格式とは、いったい何だったんだろう、、というよりも、それらを事実上壊したのが日本国首相だなんて。首相というのは土俵の上で感動したり、ぶっ壊したくなる性分なのでしょうか。

 

 表彰式も終わり、両夫妻のご退場。その際に、観客と会話や握手を交わす場面がありました。これは、後から詳しく知ったのですが、ある著名な評論家とジャーナリストが警備や進行を顧みず、大統領に握手を求めに行ったり、その二人を高いお金払って招待したのは自分であると自らツイートするノンフィクション作家がいたりで、なかなかの美しい光景でした。

 土俵に最も近い「溜席(砂かぶり)」には、大相撲中継ではあまり見かけない政治家の方々もいましたし、今回は一部に「ごっつあんチケット」があったと見るのが自然でしょう。

 それにしても、これらのことが偶然と言ってのける人もアレですけれど、天下国家を他人の犠牲を前提にしか語れないアレがアレな人達に見守られて、いつも以上に気合の入る力士っているのでしょうか。

 これは邪推ですが、当日の取組編成がいつもと違う要領で行われたことや7勝7敗同士の顔合わせが多いように感じたのも、偶然ではないと思います。

 

 今回の両夫妻の枡席での観戦を機に、大相撲をもっと快適に楽しめる取り組みが進めば良かったのですが、どうやら現状では、来場所からチケット金額の改変があるくらいのようです。枡席に椅子席を作る話くらいはあっても良いのに。

 結局、今回のトランプ大統領の来日は、日本にとっての外交成果はなく、国内向けの政治的宣伝でしかなかったように見えました。

 そもそも、この「ゴルフ→大相撲→炉端焼」という、新時代・令和を全く感じさせないメニューは、内輪ノリのウケを狙った感が強く、トランプ大統領夫妻には響かなかったのではないでしょうか。

 全体的にメラニア夫人への気遣いのなさも気になりましたし、家族をアルコール依存症が原因で亡くし、酒もタバコもしないとされるトランプ大統領との夕食の場に、酒場でもある炉端焼店を選んだのは、きっと女子との初デートに吉野家を選ぶタイプの人です。

 お相手は大富豪で、天皇皇后との宮中晩餐会でも、本国から持参したコーラーを飲むような人ですよ?真面目な話、庶民派を印象づけたかったのなら、首相官邸でタコ焼きパーティーが良かったと思います。警備の負担が少なくて済みます!インスタ映えます!次回はぜひ「ゴルフ→歌舞伎→タコパ」でキメてください。

 私は、今回の件で首相を批判しているつもりはありません。ただ、もし今回の接待内容が、政府が大統領周辺を徹底的にリサーチした結果であり、交渉を日本の有利に導くと判断したからではなく、官邸周辺の思いつきをまんま実現することを目的としただけであったのなら、これはもう裸の王貞治、これ以上バットを降らせるわけにはいきません。

 やはり、後世まで敬愛されるような人は、しっかりと自分の姿を見ることができ、潮時を間違わない人であると思います。

 そーり、ご決断を。


バッティングフォームをチェックし合う長嶋茂雄と王貞治

大統領が枡席で失うもの

 トランプ大統領、大相撲観戦ですか。しかも枡席で。

 羨ましいな。多分、ネット上には、たくさんのコラ画像が舞うでしょう。楽しみにしとこう。

 タイトルは『大統領が枡席で失うもの』にしたのですけれど、おそらく彼は何も失いません。安心して相撲を楽しんでもらえると思います。WWEのノリで。

 大相撲のテレビ中継をよく観ているとわかるのですが、溜席や枡席には必ずと言っていいほど、毎度おなじみの人がいます。私くらいの「大相撲ウォッチャー」になると、相撲内容よりも客席の面々のことが気になりまして、ああ、あのおじいさんまだ生きてたとか、神田川俊郎さんまた来てるけどお店大丈夫なんかなとか、林家ペー・パー夫妻は撮った写真どうしてるんかなとか、勝手に楽しませてもらっています、ありがとうございます。

 私は、直接会場で大相撲を観たことはないのですが、その場にいるお客さんが、すごく特別な気分になっていることはわかります。中でも、土俵に近い溜席や枡席には、人生であったり、大相撲の歴史であったり、ちょっとした闇であったり、いろいろな物語がきっとあるからであり〼。

 相撲を神聖視するつもりはないのですが、これがあなたの好きな場所、例えば映画館や劇場に来ていたとして、終演が近づいた頃になってすごい偉い人が家族やお供を連れて入って来て自分より良い席に陣取ったら、それだけでも腹が立つのに、その偉い人を呼んだのが自分の上司とか学校の校長とかで、しかも、ちゃっかり自分の家族も連れて来てて、スタッフに会場の設定変えさせたり、偉そうな人と得意気に話なんかしながら観てたら、そりゃあもう立会いから一気の出足でまとめて外に押し出したくなりませんか。

 私はフジロック会場で、場所取りだけのためにシートや椅子を置きっぱなしにして、自分のお気に入り以外は知らん顔な人とお友達になりたいと思ったことは一度もないです。

 これは、政治批判でも人格否定でもないのですが、天皇の即位をスポーツイベントと比較して、しかもそれで笑いを誘おうとすることの恥ずかしさや、自分の思いつきの行動が、誰かの楽しみを奪ってしまうことに想いが至らない人に期待することの意味は、よく考えたほうがいいと思います。

 ちなみに大相撲、アメリカ人の現役力士は、現在西幕下四十八枚目の武蔵國(ハワイ オワフ島出身 武蔵川部屋)のみ。彼の伯父は元横綱の武蔵丸。今後の成長に期待です。

 山口県出身の力士は、現在6名いますが、幕内力士はおらず、最高位は元 前頭二枚目で現 東幕下九枚目の豊響(下関市豊浦町出身 境川部屋)です。過去には白鵬から金星をあげたこともある昭和生まれのベテラン。復活の再入幕に期待です。

 どすこい。