MDを捨てた。一つ残らず、だ。
自分で作ったお気に入りの一枚、友人が作ってくれたありがたい一枚、なぜに作った恥ずかしい一枚…、その他いろいろ。
わがまちでは、ケースは資源ゴミ、ディスクは埋め立てゴミだそうだ。
「え?MDって何?」って人も多いかも知れない。
そんな人には、MOの存在も合わせてそっと教えたあげたい。
>>ロジテックからまた「最後のMOドライブ」、USB2.0接続でWindows8 / Macも対応 - Engadget Japanese<<
それにしても、このディスクからあの日あの時あの場所でキミに傾けた情熱をなんとか取り出せないもんだろうか。
MDは磁気テープと違ってA面とB面の振り分けを気にしなくてよいし、残り時間も機械が計算してくれたから編集作業はラクになったけれど、ディスプレイにタイトルを表示させるためには1文字1文字リモコンでローマ字入力する必要があった。(表示不要なら別にしなくてもいい)
これがけっこうな手間だったな。でも、その手間を乗り越え、ディスプレイを右から左へと流れていくタイトルロールを見ながら聴くMDは格別だったよ。
今考えれば、なんて地味な満足なんだろう。母さん、俺もっと欲張ってもよかったよね。
そんなわけで、捨てたMDには今から人生のひとつくらいやり直せるくらいの熱量は込められてたはず。
MDが衰退した理由は、一般的にはiPodの普及が一番なんだろうけど、MDはソニータイマー内蔵なせいか、突然再生できなくなることや書き込みエラーがけっこうあったことも個人的には大きかった。自分にとってはある意味全てが一点モノMIXだったので、再生できなくなったら作り直す気も起きなかったから。
振り返ればMDが最後だったな、弁当つくる感覚で音楽編集してたの。まあ、ホンマモンの弁当は作ったことないけど。
まあ、編集って言っても曲順変えたりミックスしたり、その程度のことだったけれど楽しかったし、一生懸命だったな。ラジオ番組チェックして、気に入った音楽が流れてきたらすかさずRECボタン押したり曲名メモしてた頃なんて、今の10倍くらい五感が研ぎ澄まされてた気がする。
それがCD音源をパソコンに入れてCD-Rに焼くようになって、iTunesでiPodに入れるようになって…、この頃にはもうほぼ機械的な事務作業になってた。曲順へのこだわりもなくなって、ランダム再生で満足したり。もちろん悪いことではないけれど。
なんていうか、捨てたくないな、忘れたくないなってモノが減ってきてる感じ。レコードとかCDもだけど、曲そのものより、その入れ物に愛着が湧くってことがある。今みたいな音楽データのやりとりだけだと、そういう感覚はまず起きない。
今は「残したい」よりも「知りたい」を満たしてくれる時代。いやほんと、これはこれでありがたい時代になりました。
そんな世の中に感謝しつつ、MDさんに別れを告げます。
さようなら。またいつかこの胸のどこかで。