タトゥーを(入れ墨)と表記していいものかどうか悩むところですけれども、ここはお許しください、その筋の方。
世間のお話としまして、タトゥー(入れ墨)が愛情表現としてありかなしかとか、ファッションなのか何なのか、とか盛り上がっているときに、私はそんなことはどうでもよくて、、、みたいなことで終わってしまうと“逃げ”みたいに思われるのも少し嫌なので、一応考えを書いておきます。
まず、大切な人への愛情表現として自分の身体を傷つける行為には反対します。それは、自分を犠牲にしているようで、実はその見返り(相手の反応)を求めていると思うからです。それって、本当に愛なのかしら?美輪明宏さんにでも聞いてみてください。
続いて、これはファッションや文化です云々な話ですが、これには賛成です。正確には賛成というよりも、それらが強制ではなく、自由な自己表現の一部ということなら否定する(すべき)理由はないと思います。でも、私にはそのために痛みを受け入れるような気概はないですし、流行りやノリでするには、ちょっと“おいた”が過ぎます。そもそも、誰かの真似ごとでしてみたところで、それはファッションや文化と呼べるものなのでしょうか。
私は、過去にもこれからもタトゥーも入れ墨もするつもりはないのですが、「彫り」や「紋様」といった言葉や実物に惹かれます。そこがタトゥー(入れ墨)の持つ理屈じゃない力なのかなと思います。
というわけで、まとめますと、基本的にどうでもいいけど、やりたい気持ちはわかる。でも、私はやらない。やりたい人はやればいいと思うけど、中身によってはどうでもよくない人もいるということをわかってやらないと、あとはどうなっても知らんがな。というのが私の考えです。
で、実はここからが本題なのですが。私が「タトゥー」が話題になる度に思い出すのが、中森明菜の『TATTOO』(作詞 森由里子 作曲 関根安里 編曲 EUROX)です。
私は、彼女が好きでよく聴いていたのですが、魅力を感じなくなったのは、この曲からだったかも知れません。“ムリヤリ感”がすごくて、「ほんとにこの歌を歌いたいのかな?」と思ったのを覚えています。
ポスト山口百恵を引きずりながら、松田聖子のような伝説の80’Sアイドルにはなりきれず、今は“古き良き”バブルの象徴となった荻野目洋子にも、旧来のオタク達の女神であり続ける森高千里にもなれなかった彼女。でも、私は今も忘れません、その歌唱力、ダンスを含めたその表現力の高さを。
なんでもかんでも「バブル」に結びつけるのはよくないのかも知れないですが、この曲がリリースされた1998年はバブル景気後半、地上げが社会問題になっていた頃です。この頃からいろいろな意味で崩壊は始まっていたと思います。
もし、彼女が時代や周りに翻弄されずにいたなら、登場があと10年どちらかにずれていたなら、今頃彼女はきっともっと長く強く輝く存在になっていたはずです。高橋真梨子や加藤登紀子あたりから後継者指名を受けていたっておかしくない。んもう、マッチのバカ!バカ!!
…はちょっと、違うかも知れないですが、とにかくもったいないなぁというのが私の率直な思いです。
それでは。私の思い出の中森明菜メドレーですどうぞ。
『スローモーション』1982年
作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 編曲 船山基紀
彼女のデビュー曲。最初はこんな声でした。
『セカンド・ラブ』1983年
作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお 編曲 萩田光雄
サード・シングルだけど。
『禁区』1983年
作詞 売野雅勇 作曲 細野晴臣 編曲 細野晴臣・萩田光雄
当時は、ペンがかすれてくると「そろそろインク…」が定番ギャグでした。
『北ウイング』1984年
作詞 康珍化 作曲・編曲 林哲司
私はこの曲名で初めて「空港」にそういう場所があることを知りました。
『サザン・ウインド』1984年
作詞 来生えつこ 作曲 玉置浩二 編曲 瀬尾一三
> 「パナマ帽」と呼ばれているが、起源はパナマではなくエクアドルである。(wikipediaより)
『十戒』1984年
作詞 売野雅勇 作曲 高中正義 編曲 高中正義・萩田光雄
イライラされたい。10回連続で「坊や」って言われたい。
『飾りじゃないのよ涙は』1984年
作詞・作曲 井上陽水 編曲 萩田光雄
飾りじゃないのよ明菜は。
『SOLITUDE』1985年
作詞 湯川れい子 作曲 タケカワユキヒデ 編曲 中村哲
デビューから3年で13枚目のシングル曲。この時期としてはやや異彩を放つ曲ですが、今こそこの路線で行けてたらなぁと思わずにはいられません。
『DESIRE‐情熱-』1986年
作詞 阿木燿子 作曲 鈴木サブロー 編曲 椎名和夫
この衣装、振り付けは彼女自身によるものであることからも彼女のポテンシャルの高さがわかります。アイスは、バーニラー。
『TANGO NOIR』1987年
作詞 冬杜花代子 作曲 都志見隆 編曲 中村哲
丹後
『難破船』1987年
作詞・作曲 加藤登紀子 編曲 若草恵
これは、加藤登紀子の曲のカバーだったんですね。
このあたりから、何か重いものを背負うことを背負わされている感じがして、見ていても正直なところつらくて…。声も、“憂い”を通り越してしまい、広くみんなの心に届きにくくなっている気がします。
『TATTOO』はこの曲の翌年リリースなのですが、
これ、“TAT”
涙を流している顔に見えませんか?
そして、『LIAR』1989年
作詞 白峰美津子 作曲 泉一哉 編曲 西平彰
1989.07.09 中森明菜 LIAR(メガロポリス歌謡祭)
この曲を出したあと、彼女は歌手活動を一時休止することになりました。
私は、早くに心が離れてしまったので、本当のファンからしたら“ニワカ”同然ですけれど、気づけば予定そっちのけでこれを書いています。
わざわざ体に刻み込まなくても、心のどこかに残るものは残っている。残したいものも残したくないものも。結局はそういうものだと思うのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
参考)中森明菜はとにかく歌も振りも丁寧で上手。小泉今日子は癖がすごい。
SOS ,渚のシンドバッド / 中森明菜 小泉今日子 山口百恵 桜田淳子 ピンクレディー
そして桜田門外の変。