読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

お盆のこと

随筆

 子どもの頃、おばあちゃんや母親から「お盆は殺生したらアカン!」ってきつく言われたけど、最近はそんなこと言う人少なくなったんだろうな。

 お盆と言えば精進料理で、出てくるものは豆類とか野菜ばかり。「え~?また精進料理なん?他の食べさせて!」と何度訴え、却下されたことか。

 せめてもの救いはお供えのお菓子で、お菓子といえばブルボンで、ブルボンと言えば「ルマンド」で、「チーズおかき」と「味ごのみ」はお菓子ではありませんでした。

 他のお菓子と言っても、砂糖でできた野菜とか輪っかみたいなのとか、とにかく笠智衆みたいな感じでした。…もう30年ほど前になるのか。

 

 それが今や、お盆だというのにスーパーのチラシには「バーベキュー祭り」とか「海の幸スペシャル」とかで肉や魚が舞い踊り、みんなが競うように生身を売って買ってしてるわけです。それ全部殺生やがな。

 確かに親戚や友人が集まったりするお盆は、お店にとったら書き入れ時でもあるし、客の側もみんなでわいわい精進料理ってわけにもいかないし、これも時代ということで仕方ないのかも知れない。実際、我が家でも肉や魚が出るようになったし。

 

 子どもの頃、おばあちゃん(母だったかも)に「なんでお盆に生き物殺したらアカンの?」って聞いたことがことがあった。その答えは、

 「死んでしもうたらな、お盆にしかあの世から自分のおうちへ帰れへんのや。あの世まで日にちかかるし、お盆に死んだら次のお盆まで帰って来られへんの、かわいそうやろ?生きてるもんは虫でも一緒や。せめてお盆くらいは我慢せなアカン。」

みたいなことだったと思う。

 

 いくつまでその通り信じていたかは忘れたけど、説得力あったなぁ。だから今でもお盆に肉や魚を食べるのはなんとなく気が引けるし、ハエや蚊は殺すより追い出すことを先に考えるし。「お盆」の数だけ優しくなれた気がするよ、俺。

 たぶん、言いたかったのは単に”我慢しろ”ってことではなくて、結局食べるし殺すんだから、生きるってことがどういうことなのか少しでも”感じろ”ってことだったんだろうな。

 ホント、年に3日…せめて1日くらい肉や魚を口にせず、虫も殺さない日があっていいと思うよ、おばあちゃん。ちゃんとできてなくてゴメンやけど。

 近いうちに謝りに行くわ。今年も帰って来てるだろうから。